『今までで一番悲しい軍歌・・』

恐れずに言うのなら自分の人生を「波瀾万丈」という人が苦手です。

   
一人の方の人生を「HISTORY」という本や冊子にまとめるため
80代の方のお話を聞くことが増えました。
   
多くは娘さんや息子さんからの依頼です。
ほとんどの方が
「話すような人生ではない、平凡で普通だから」
と言われます。
   
でもだれ一人平凡で普通の人生などありませんでした。
生きているということはそれ即ち波瀾万丈なのだと思うようになりました。
 
  
先日、お話を聞いていた80代の女性が、
突然、軍歌を歌ってくれました。
  
とても綺麗な可愛い声のおばあさんです。
その歌声はまるで童謡を歌う少女のようでした。
  
  
おそらくその意味もわからず、
子ども時代に童謡のように何度も口ずさんだ歌なのだと思います。
   
テレビや映画で流れるような軍歌とは違い、
今までで一番悲しい軍歌に感じました。
   
 
  
戦争を体験した人を前に
「自分は波瀾万丈の人生」
なんて僕には言えません。 
    
そして大事件に巻き込まれたり、
生死を分けるような大病、
をしていなくても
  
別離、悲しみ、喜び、憎しみ、怒り、愛・・
この誰も経験するだろうことを人生と呼ぶのだと思います。
むしろ、悲しみも喜びもない人生があるとしたらそれこそ悲劇かもしれません。
 
平凡な人生など誰も生きてはいない
僕らは誰もがそれぞれの人生を
精一杯、魂を震わせながら生きているのです 
 
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僕が10年前に成功率15%の手術を受ける前に出版した本があります
「僕だけがまだ生きてる、その意味を君が僕に教えてよ」
(完売のため、もう絶版になっておりますが・・)
若くして亡くなった二人の友人を想い書いた本です。
その中の一文「夭折の資格」の抜粋です。
ご興味がある方はお読みください。
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Will Design株式会社

『夭折の資格ー僕だけがまだ生きてる、その意味が君が僕に教えてよ』

『夭折の資格』

統計的に人は人生で幾つの親しい死を見送るものなのか、僕は随分多くの夭折の瞬間に立ち会ってきたように思う。

  

そして慣れるということではなく、深くそのことにさわらないように心をセーブすることを覚えた。もう会えないと考えたり、あの頃の想い出とかを引っ張りだしてくると深い深い悲しみの淵に落ちてしまってどうしようもないからだ。

    

「最近あっていないだけ」そんな風に考える。ずっとそう考える。そうしたら不思議なことに本当にそう思い込む事ができた。

ただうっかり「そういえばどうしてるだろう?」と思い出すと突然頭を殴りつけられたように現実が甦り、一瞬にしてあの淵まで戻ってしまう。

   
  

僕の人生の中で触れないわけにいかない死がある。

それは13歳から17歳までを双子のように一緒に過ごした親友の『J』。

   僕等は自分たちが周りから理解されにくいことを感じていた。だがお互いのことはわかりあっていたと今も信じている。

   

僕たちは二十歳になる前に死ぬものだと思っていた。長くても30歳を越えることはないだろうと確信していた。

「人生は美しい人は若くして死ぬべきだし、そうでない人はできるだけ永生きすべきであろう」夭折の資格といったのは三島由紀夫だったと思う。

   

『J』は17歳で死に、僕はその倍以上を生きてきた。

   

  

『J』には考えられもしないことだろうけど、僕は今、年々高くなる厚生年金の掛け金に頭を痛めたり、生命保険に何口はいるべきかを悩みながら生きている。

そしてレンタルビデオの返却日を気にしたり磨り減ったタイヤを横目に騙し騙し一日を生き延びている。そんなところだ。

    

気に入らない相手には返事もしなかった17歳の僕とは違う。嫌な相手にもそんなそぶりはみせはしない。嘘だってつく。

こんな僕を見て『J』はつまらない大人になったと嘆くだろうか?

   

もう僕は酔っ払って電柱に登ったり、大声でLAYLAを唄ったりはしないんだ。

 自分の中にある矛盾や増えていく失ってしまったかけがえのないものをなんとかやりくりして、この心が壊れないように自分を励ましながら生きているんだよ。

     

   

いや、僕は今でもあの17歳の頃と何も変わっていない。あの頃抱えていた将来への不安や自分が何ものなのかを知りたいと思う気持ちに今も悩まされているんだ。今も僕はあの頃と同じように自分の未来をどうやって切り拓こうかとそればかりが心の大半を占めている。

  

J、お前が生きていたらきっとお前もこんな大人になっていたはずだと僕は思っている。そしてきっと僕の弱さやずるさ、卑怯さを許してくれた。お前は間違っていない、そう言ってくれ。

  

J、お前は気付いていたか?

誰もがその心の奥にそれぞれの地獄を抱えながらそれでもなんとか生きているんだよ

銀河出版舎

(〜僕だけがまだ生きてる、その意味が君が僕に教えてよ から抜粋)

『言葉の力』

昨年、友人の依頼で一冊の本を作りました。
お父さんが書き溜めた句を一冊にまとめたいという相談です。
   
その時『お父さんの句に絵を合わせられたらいいね!』と、
軽く預かった100枚以上の絵葉書。
 
それは依頼主である友人に宛てて、お母さんが毎月送ってくる色鉛筆で書かれた手書きの絵手紙。
添えられた鉛筆書きの一言・・。
  
それを続けて何枚も何枚も読んでいると胸が詰まってきました。
   
1枚1枚は「〇〇の花が咲いたよ」とか
「桃が美味しそう」と書かれているだけです。
 
  
スイカ好きの娘にスイカの絵、
そして「待ってるよ、いつも、いつでも 母」
   
 
  
全部が娘に宛てて書かれたラブレターなんですね。
毎月欠かさず、何枚も何枚も送られてきた母からのラブレター。
  
これほど温かいものはないですね。
  
思わず読みふけって、手が止まりました。
  
   
僕は30年近く言葉を綴る仕事をしています。
絶対に敵わないなあと思うのがこういう言葉です。
   
  
言葉が巧みだと、他人だけでなく、自分自身を誤魔化すことができる。
むしろ拙なくても、うまく言えてなくても、こういう言葉は心にダイレクトに届きます。
   
心は言葉ではなく、その後ろに存在している。
  
  
 

  

  

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